エンディング1 ――一蓮托生の誓い――


シーンプレイヤー:ハインリヒ/タロット:マネキン(正)


“黙示録の竜”ケント・ブルースは消滅した。
 沈んだ太陽は、何事もなかったかのように再び辺りを照らし出し、後に残るは沈下した地盤と、戦闘によって崩れたいくつかの家屋。



アルヴィラ:「ふう――」と一息ついて、残党のワイバーンとかを始末してよう。

ハイン:「姫様。話があるのだが。2人きりになれないだろうか」と電脳のまま通話します。

アルヴィラ:「……ああ」 晴海を呼びつけて、「この場は任せたぞ」

晴海:「分かりました」と言った後で、ボソッと「……ついて行きます」

アルヴィラ:復旧作業はイザナギに任そう。たぶんこの国の立ち直りは早いわ(笑)。

ハイン:では表面上2人なんですね。人気のないところにアルヴィラが来ると、そこには生身の私が険しい表情で立っている。「お疲れのところ申し訳ない。だが、どうしてもうやむやに出来ない事情があるので、来てもらいました。率直に言いましょう。先だって姫が隠された情報ですが、私には教えていただけないのですか」

アルヴィラ:うぐ……。言いよどむ。

ハイン:こっちがずんずん詰め寄っていきます。「なぜ教えていただけないのですか? 私は信用ならないと?」

アルヴィラ:「いや、別に信用ならないってわけじゃない、が――うー……」

ハイン:「“ソラナギ”というものは、それほど危険なものなのですか? ならばこそ協力者として……」

アルヴィラ:「あーもー! 分かった! 分かったからちょっと待ってくれ!」と言って頭を抱えよう。「……分かった。こっちの負けってわけじゃねえが、話すよ。ただし最初に言っておく」

ハイン:「はい」

アルヴィラ:「はっきり言って、俺も今まで知らなかった寝耳に水の話で、持て余してるってのが現状だ。リッツガルドのエネルギーだのなんだのと、ぶっちゃけ、俺は蚊帳の外なんだ」

ハイン:「確かに。私もリッツガルドの地下に極秘の空間があると聞いた時は驚きました」

アルヴィラ:「そこについては、うちのクソ親父が悪い。全部悪い……もう少し自分の娘を信用してくれたって良かったのによ」

ハイン:「そんなに自分の父親を蔑まなくても」


アルヴィラ:アルヴィラとしては、親父に隠されてるのが一番応えてるような気がしてきた。信用されてないか、ガチで未熟者だと思われていたかそっちだもん。

ハイン:こっちも親父の思惑聞いてびっくりしたんだけどね。あんなに聖人君子だとは思わなかった。

晴海:大人はずるいなあははは。


アルヴィラ:「とりあえず話すっつったからな。これを聞いたら後戻りは出来ねえぞ。リアルで24時間体制の監視が入るからな

ハイン:「そ、そうなのですか?」

晴海:もっと踏み込んでいいぞ。死ぬ気があるなら聞けってくらい。

アルヴィラ:「ああ、ぶっちゃけあんたの命は保障できない。これだけ身の危険を感じたのは、闘技場で親父が力の加減を間違った時以来だな」

晴海:これを聞くと、誰が敵か分からなくなるからな。

ハイン:クスッと笑って、「それだったら、姫様にとっていつものことじゃないですか。違いますか?」

アルヴィラ:「そう……かもなあ」

ハイン:「私は、今でこそ州知事ではありませんが、あなたをヴィル・ヌーヴに招き入れた張本人です。少しでもあなた方の助けになりたいというのは私の本心です。そのあたりの覚悟は、あるつもりですよ」

アルヴィラ:「まったく、俺は本当に世間知らずだね……」 うん、話すよ。

ハイン:ありがとうございます。

アルヴィラ:ついでにこっちの状況も全部説明するわ。愚痴も含めて。あの親父ーとか、晴海が毎回殴り掛かってくるとか、イザにゃんがわけわからんとか、マユちゃんうぜーとか。


イザナギ:「わけわかんないってなんですか!」

マユ:「そんなことよりパンツ見せてください」(爆笑)


ハイン:一時的にペルソナをミストレスに変えておきます。「辛かったんですね。泣いてもいいですよ?」

アルヴィラ:はー、はー、と息を整えて。「おあいにく様。そういう解消方法は知らねえんだ。鬱憤が溜まったら暴れて晴らす。そういう風に生きてきた。これからもそれは変わらねえだろうしな」 鮫のように笑う(一同笑)。


RL:……おい、今の見たか。

リーベ:アルヴィラが、鮫のように笑ったぞ(爆笑)。


アルヴィラ:「しっかしよー。これからどうしろってんだ。ろくに事情も知らねえままこの若さで国王になるかもしれねえんだぜ」

ハイン:「姫様は今、一つだけ願いが叶うとしたら何がいいですか?

アルヴィラ:「願い事……かあ」

RL:マニピュレーターを生き返らせてくれ(爆笑)。

アルヴィラ:ちょっと悩んで、「そうだなあ。パッとは出てこねえけど、国だとか変なエネルギーだとか、そんなわけわかんねーことに囚われねえで、もっと気ままに戦ったりしてーかな」

ハイン:「分かりました。落ち着きましたら、とっておきの旅行に招待いたしましょう。宇宙旅行なんて、どうですか?」 RL、《天罰》で宇宙旅行のチケット出すー。

RL:誰と誰―?

ハイン:空から地球を見て欲しいという意味も込めて、アルヴィラ1枚だけで。

アルヴィラ:「まあ、申し出はありがてえが、もうしばらく落ち着いてからだな。俺にはもっと知らなきゃいけねえことも、身につけなきゃいけねえことも、逆に――忘れなきゃいけねえこともあるらしい」

ハイン:「困ったことがあったら、いつでも頼っていいですからね」

アルヴィラ:「ああ、ここまで語っちまったんだ。そん時は頼りにしてるぜ」


ハイン:「それはそれは」と、エグゼグの顔に戻って、「それでは、情報、感謝する」

アルヴィラ:俺はカリスマの顔になる。「これからもよい関係を結んでいきましょう。この国、いや大地に住む民のために」


晴海:その時、後ろで微かな物音がする。君は気付いてもいいし気付かなくてもいい

アルヴィラ:気付いて、「はーるーみーさーん?」と言うが。

晴海:すでにそこには何もない。

ハイン:「ふふ、どうやら鼠に聞かれたようだな」

アルヴィラ:「まあ、いいさ。とりあえず復興作業に戻ってくる。じゃあな」

ハイン:「ドイツからも派遣しましょうか?」

アルヴィラ:「必要になったらな。この国の日常茶飯事で慣れてるから、大丈夫だよ」

ハイン:思わず吹き出して、「まったく、面白い国だな、ここは」と笑い合います。






エンディング2 ――少女の門出/男たちの願い――


シーンプレイヤー:リーベ/タロット:クグツ(逆)


 夕日が差し込む公園で、リーベはその少女と向かい合っていた。最初に出会った頃と違うのは――。



RL:エンディング最後のシーンはリーベだ。後日、君の前には髪を切りそろえ、衣装も小奇麗に整えた偽ヴィラの姿が。

リーベ:「どどど、どうしたんだ。そんなに女の子っぽく可愛くなっちゃって」(一同笑)


ハイン:なんで今さらフラグを回収しようとしてるんだ(笑)。

RL:場所はどこにしようかな。また地下の実験室……。

リーベ:いやいや、落ち着きましょう(笑)。

RL:そうだね、あそこは、埋もれた。

晴海:イザナギは?

RL:埋もれた(爆笑)。

アルヴィラ:え、地底村は埋もれたの?

RL:いや、まだ埋もれてないけど(一同笑)。縦穴が通ったから、正規の入り口以外からも侵入が可能になってる。


リーベ:とりあえず、オープニングと同じ建国王通りでいきましょう。

RL:あの時、土門の〈獣の一族〉に彼女は〈魔女の叫び〉を仕掛けたんだ。その時の様子を、偽ヴィラは面白おかしく語る(爆笑)。

リーベ:土門の兄貴は?

RL:またどこかへ旅立った。書き置きが残されていたそうだ。

リーベ:自分はブランコに乗りながらバイオリンを弾きますよ。「これから……どうしたい? いや、答えはもう出たのかな」 そっと抱き寄せる。


アルヴィラ:バイオリンを弾きながら?(一同笑)

リーベ:勝手に音が出るから盛り上げといてもらいます(笑)。そういえば偽ヴィラの名前問題もありますね。

RL:どうしようかな、リーベだから「愛」をもらおうかな。

リーベ:愛って書いてマナと読ませるとか。

晴海:世界の根源を司る意味もある。


偽ヴィラ:「お兄さん、ありがとう」

RL:日は傾き、リッツガルドは朱に染まっていた。ほどよく揺られたところで、偽ヴィラは「お願いがあるだよ」と口を開く。その頬は夕日に照らされてか、オレンジ色だ。

リーベ:「どうした」

RL:照れくさそうに、「オラはもう、偽ヴィラとして生きていくのはやめる。だから、その……」

リーベ:「新たな出発ってわけだな。もしかして自分の名前が欲しいのか? 何かないか? 好きな物とか、言葉とか」

偽ヴィラ:「お兄さんと同じ名前がいいだよ」

リーベ:え、リーベ? それはややこしいぞ」(一同笑)

偽ヴィラ:「違うもん! 同じ意味の言葉で、お兄さんに呼んでもらいたいだよ」

リーベ:「じゃあ、愛ちゃんとか」

偽ヴィラ:ちょーっと、捻りが足りないなあ」(爆笑)

リーベ:「うーん、それなら、マナだ。リーベの妹、マナが今日からお前の名前だ

マナ:「マナ……うん! それがいい!」


「ありがとう、お兄さん」

 とん、と。元気よく彼女は地面に飛ぶ。
 振り向いた顔には、満面の笑みがこぼれていた。

「これで吹っ切れただよ。オラ自身が何をやりたいかはしばらく分からないだろうけど、まずはお兄さんみたいに世界を見て回る」
「そうか……また会おうな、マナ」
「うん!」

 夕日に照らされる建国王通りに、長い影が伸びている。少し進んでは振り返って手を振る。また、少し進んでは手を――。

 偽ヴィラ――いや、一人の少女、マナはここに門出を迎えた。



リーベ:大声で、「マナー! また会おうなー! 元気でなー!」と見送ります。


*    *    *



晴海:「お熱いですね」耳元から囁こう。

リーベ:「うお! あんたは……晴海次郎」

晴海:「覚えていただけましたか。光栄です。(キーカードを出す)あなたの持っている情報をすべて吐きなさい。その正体も」

リーベ:「俺の正体?」

晴海:「調べはついてますよ。モチをのどに詰まらせて死んだはずの第1王子だとね」

リーベ:うっ、となりながら。「いいのか、俺の曖昧な記憶で」

晴海:「だとしても、あなたは姫様のお兄様でしょう?」


RL:知ったら24時間の監視がつくぞ……!

リーベ:つかない!(笑)


晴海:息を抜いて、「少し、歩きませんか」

リーベ:分かりました。 「実のところ、俺が本当にあいつの兄貴なのか……よく分からないんだ」 と晴海に平行しながら、施設のことなどすべて話します。

晴海:まあ、そういうのは実際どうでもよろしい

リーベ:「え!?」(爆笑)

晴海:「大事なのは、あなたに姫様を守る意志があるかどうかです」 無いんなら……。

RL:即身成仏だな(爆笑)。

晴海:「その覚悟があるのでしたら、頼みたいことがありまして」

リーベ:ではここはひとつ真面目な顔をして、「ある」と答える。

晴海:「……そうですか。その意志が確認できたのなら大いに結構」 頭を下げよう。

リーベ:「な、なんだ?」

晴海:「もしこの国――私に何かあれば。誓ってください、命に代えても姫様を守る、と。どちらにしても、私はあまり長くここにいられそうにありませんので」

リーベ:うほおー、死亡フラグだぞ、これは。 「おいおい、まるでこれから死ににいくような言い方じゃないか」

晴海:ははは、まさか」(一同笑)

リーベ:「ふう、驚かせるなよ。この国に来てから、俺の周りで人が死にすぎてるんだ。そういう顔はしないでほしい」

晴海:「え? そんなに死相が見えてますか?」

リーベ:「いやいや、そんだけ言えるなら、あんたはまだまだ大丈夫だな」

晴海:「これで私の用は済みました。ま、懸案は色々ありますが、これでひとつ解決ということで」

リーベ:「あんたほどの男がこうして頭を下げるとはな」

晴海:「それほど重大な用ということです」

リーベ:「恐らく俺には、あんたの代わりは出来ないだろう」

晴海:「代わりではないのです。誰か一人でもいい、ただそばにいる人間がいれば、それで。あなたは恐らく、たった一人の身内、ということになるのでしょうし」

リーベ:「俺はハナから誰かの真似をして生きる気なんてないさ。俺は、その時になったら一人の兄としてあいつを守るだけだ!

晴海:「エンリル・チルドレンの暗い影は、もはやあなたの中に無いようですね。それを聞けて安心しました。それでは仕事がありますので……」 去り際に、「これでひとつ懸案が……。ハインリヒ・ヴィルヘルムの方はまだ信用しきれないが、姫様を守ってくれるというのなら構わない……」と独白しながら退場。

リーベ:晴海が去った後、最後に「あの男――よほど思い詰めた顔だったが……」 呟いてシーンを終了していきます。


 かくして一連の騒動の幕は降ろされる。

 復讐のためにその命を散らせた者――。
 己の能力に責任を問われ、涙する者――。
 宿命を変えた者――。
 国を護る者、奪う者――。

 すべてを見つめていた天球が、動きを止めた。

「なァ? 言った通りになっただろ。なんとも青クセェ連中だが、あんなトカゲ野郎に負けるタマじゃねェ」

 横を向くエアハルト。
「……って、もういねェし」
 呆れたように肩をすくめる。
「まァ、いいさ。これでひとまず、波は越えた。“モア”も、しばらくは眠りにつくだろうよ」

 やがて、球体から漏れていた光は徐々に弱まり、そこは完全な暗闇に支配された。


 ボッ、という音と共に、ライターの火をつけるエアハルト。
 その光は拡散し、闇に包まれた空間は、ヴィル・ヌーヴの円卓会議室へと変化する。

 その火で煙草をくゆらせながら、彼は深く、目を閉じていき……。



トーキョーN◎VA The Detonation
おでかけプリンセス☆パラノイア

――とりあえず、FIN――









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