荒涼とした大地が広がっていた。
その中に、墓石がひとつ。
過去に起きた戦争の果て、焼き尽くされた土地には草木も生えず、放棄され、凍える風は鎮魂歌となり、静かに死者を慰め続けている。
一人、少年は祈りを捧げていた――。
RL:墓石の前で両手を組んでいるのは、まあ高校生ぐらいの少年。その背後から影が差す。
アル:暗殺者か。
RL:いいや、バルトシュタイン(一同笑)。
バルト:「またここに来ていたのかね。ロラン」
RL:少年は顔をスッとあげて後ろを振り返る。物腰の柔らかい笑みで、腰には、両手持ちサイズのライフルが差さっている。
ロラン:「ここは……僕が僕である事を忘れないために祈る場所なんです」
ミリ:いいなー聖遺物。
ハイン:作れよ(一同笑)。
アル:ヴィーデルリボンって聖遺物みたいなもんなんだろ?
RL:ミリシアは意外と高スペックなんだぜ。
バルト:「準備は整ったぞ。
お前の亡き父、リヒャルトの復讐も、もうすぐ叶うことだろう」
ミリ:は?(笑)
ロラン:「やだな。復讐なんかじゃありませんよ。先ほど言ったように、僕が僕であるための――ちっぽけな誓いなんです」
RL:ロラン君は薄く笑うと、天に向かってライフルを掲げる。数発の弾丸を撃つと、それはまるで弔砲のように虚空へと響きわたっていく……。
ロラン:「行きましょうか、バルトさん」
バルト:「クク……まあ、いいだろう。まったく、君は不思議な子だ」
ロラン:「もはやこれは、個人的な闘争です。ですから、いつまでも付き合ってくれなくてもいいんですよ」
バルト:「いや、見届けさせてもらおう。誓い……それは私も同じことだからな」
舞台裏
ハイン:〈社会:企業〉〈ホットライン〉〈社会:ドイツ〉〈自我〉〈分心〉で達成値24。スレイプニルを呼びます。
アル:さっきの流れで行くとモアなのかなあ。達成値12。
『モア』
・昔話、あるいは民謡としてヴィル・ヌーヴに語り継がれている英雄譚。“モア”はそのストーリーに出てくる英雄そのものである。
アル:その名前だけなら2年前に聞いたよね。
RL:うん。アベルが扮していたのがそれ。ちなみにその物語の末尾は、モアの永い眠りによって締めくくられている。
ミリ:回しまーす。
リーベ:回しまーす。
晴海:ボム缶買いまーす(一同笑)。
リーベ:さっき成功させたコネ判定でこの人物に会いに行きたいんですが、場所はどこになります?
RL:どこかここではない暗闇。抽象的なとこになるね。
リーベ:なら最初は適当なストリートにさせてもらいます。晴海さんと一緒に聞き込みとかしながらキンダーモルトのアジトなどについて調べてたんじゃないでしょうか。
RL:再び、頭痛。
リーベ:「クッ……」と頭を押さえます。
晴海:「どうしたんです?」 一応心配はするよ。
リーベ:「いや、なにも……。ところで、思ったんですよ。キンダーモルトを追うのはいいんですが、今すぐ行かなくてもいいでしょう」
ハイン:なんか変なこと言いだした(笑)。
晴海:「ほう。その根拠は?」
リーベ:「
晴海さん一人で行けばいいじゃないですか。そんな鉄火場に俺がいても邪魔なだけっすよ」(爆笑)
アル:お前から行きたいって言ったのに(笑)。
晴海:「またまたー。ずいぶんと修羅場をくぐってらっしゃるじゃないですか」
リーベ:「いや、あのー。どうしても行きたい場所が……」
晴海:「どこですか?」
リーベ:「まあ、それは言えませんけど」
晴海:「教えないと勝手について行きますよ?」
リーベ:「いや、これは……俺の戦いなんだ!」(一同笑)
晴海:「ふむ……私は一応、
あなたに命運を託している身ですからねえ。見届けさせて頂きたいと思っているのですが」
リーベ:命運というと、アルヴィラのことですか。
晴海:「はっきり言いましょう。私、どうしていいのか迷ってます。道標さえあれば飛びつきたいと思ってるくらいです」
リーベ:「そんなこと言われても……確かにあなたとは約束したが……いや、あなただからこそついて来させるわけには」
晴海:「それは何故ですか。理論だって説明していただかないと、私は納得できませんよ」
リーベ:「ぐ……」 これは問い詰められてますねえ。公開条件と合いますか?
RL:うん、OKだね。
リーベ:分かりました。キーハンドアウトを公開します。
リーベ用キーハンドアウト
「アルヴィラを殺せ」その言葉はキミの脳裏に焼き付くほど囁かれている。「“デリート”しなければ、この世界は終わりを迎える」と、しきりにその声は語りかけてくる。その送り主は、“モア”と言っていた。
・モアの<コネ>を任意のスートで取得(理性)。居所を知っている。誰かがリーベの抱える秘密を問い詰められたら公開可能となる。
・公開することで、PSを任意の物に変更することが可能となる。
・この情報を公開するまで「レシピエント」は使用できない。
一同:はああ!?(爆笑)
アル:やべー。確かにこれは公開したいわ。
ハイン:レシピエント使えないままキンダーモルト行けないもんね(笑)。
RL:PSはクライマックスまでに変更してくれればいいよ。
リーベ:わかりました。で、晴海さんにそういう内容のことをべらべら喋ります。
晴海:了解。
「なるほど。じゃあ、あなたを殺しましょうか?」
リーベ:「ままま待ってくださいよー!」(一同笑)
晴海:「冗談ですよ。その情報を聞いた限りでは、今の私から動く動機はなにひとつありませんね」
リーベ:「俺は、アルヴィラを殺そうだなんて一切思っていないさ」
晴海:「ええそうでしょう。本当に思っているのでしたら、今すぐ即身成仏ですよ」(一同笑)
リーベ:ゾクリとしちゃいます(笑)。
晴海:「そうでないと分かれば、それで十分です」
リーベ:「だが、こいつが言うには、世界の運命と……アルヴィラの命が天秤に掛けられて……そんな感じなんですよ」
晴海:「じゃあ、会いに行きましょうよ」
リーベ:「ああ、今から行きたいと思ってるんだ」
晴海:「私も一緒に行きますけど」
リーベ:「え、マジで?」(爆笑)
晴海:「“モア”といえば、ヴィル・ヌーヴで知らない人はいないというレベルの英雄、ですからね」
アル:日本で言うところの桃太郎みたいなもんかね。
リーベ:「自分だってそらんじられますよ!」 吟遊詩人だから。勝手に言いだそう。あ、信じてない(一同笑)。
晴海:「ふふ……面白いじゃないですか。伝説上の英雄と相まみえる機会だなんて」
リーベ:「……分かりました。ではひとつ頼みを……いや、こんなことをあなたにするべきでは……」
晴海:「いいですよ。私とあなたの仲でしょう?」 にたー。
リーベ:「では、もしその“モア”に俺が操られるようなことになれば……」
晴海:「ああ、殺しますよ」
リーベ:あっけらかあああん!?(爆笑) ぽかーんとします。
晴海:「ですからあなたは、そうならないように努力してください」 ほらレシピエント使えよ(一同笑)。
リーベ:「は、はあなるほど……。あなたがアルヴィラを支えて来たのか……確かに心配はいりませんね」
晴海:「それに。その“モア”さんが姫様を殺せというのには何か裏があるのでしょう。それを知るまでは」
RL:まとまったかな? そろそろシーンを切っていこう。
晴海:最後にスイートパイン買っちゃう。18で成功。
リーベ:あ、そうだ。秘密裏にモアのこと調べてたので、それを晴海に伝えます。
『モア』
・英雄のように認知度の高い存在は、時にその情報自体が意志を持ち、アヤカシになることがある。“モア”も伝説の英雄として、ヴィル・ヌーヴの守護霊となっているそうだ。
・“モア”は究極の善を持っているが、裏を返せば自分にとっての善の押し売りでしかないとも批判できる。とどのつまり、彼は狂っている。
晴海:狂っているとなると、対応を考えないとな……。
アルヴィラは、歩みを進めていく。
再び、そこには闇が広がっていた。
アル:自分の中のリッツガルドが崩れていく。3代国王〜!(笑)
RL:闇の中、今度は誰かが立っていることに気づく。それは――クロノ王。アルヴィラがよく知っている姿。
アル:「なんだ……また幻覚か? 今度は何を見せる?」
RL:クロノは、今までの光景と違い、確かにそこにいるアルヴィラに向かって語りかける。
クロノ:「すまなかったな……アルヴィラ」
アル:「親父……なのか?」
クロノ:「お前もここまで来たか。
“ソラナギ”は、お前に何を見せてくれた?」
アル:「……この場所自体が“ソラナギ”だってのか」
クロノ:「そのようなものだ。もっとも、
ワシもこの姿になって初めて、その存在を知ったのだがな」
リーベ:なんだって?
クロノ:「ワシの時は、“ソラナギ”はその姿を現してくれなかったのだ」
アル:「親父……教えてくれ。ミーティア――俺の母さんは、あの人は一体なんなんだ」
RL:ではクロノが知っていたかどうかコネ判定して。
アル:OK。ジョーカーを切る。
RL:おー、奮発したな。では以下の情報を伝えよう。
『ミーティアの秘密』
・ミーティア封印の際、クロノは“モア”から根回しされており、「ミーティアを殺せ」というメッセージを受けていた。ちょうど今のリーベのような状態。
・“モア”は、ミーティアをヴィル・ヌーヴにとっての危険分子だと判断した。そして円卓含めた有力者に情報操作を行い、ミーティア討伐の決定を下すよう仕向ける。ただし、クロノはリッツガルドの血を引いていないため、真実を悟らせないようにした。
・なお、管理者である“モア”には嫌われていたものの、ミーティアは“ソラナギ”には気に入られていた。
アル:あー、中間管理職だったわけだな。
RL:うん、そうだよ。
アル:どうりで教えてくれなかったわけだ。本人も知らなかったんだから。
ハイン:ただ知ってるふりしとかないと、王様として成り立たないですからね。
ミリ:なんてかわいそうな人。
RL:これ以上はキーハンドアウトにも触れちゃうから終わり。
クロノ:「今になって――と思うのも無理はない。だからこうして頭を下げに来たのだ。……すまなかった」
アル:それにはうつむき加減で、前髪で目が隠れる感じ。そのまま、つかつか歩いていく。そして、
思いっきり殴り飛ばす!
RL:大きくのけ反りながら吹っ飛ばされるクロノ。口の端の血をぬぐい、体を起こす。
アル:「
謝ってんじゃ――ねえ!! あんたが黙ってたせいで、こっちがどんな思いをしたか分かってんのか! そん時にどれだけ衝撃があったか、あんただって分かるだろ! そんなんだから……俺は……!」 つまり、あの時のトラウマで、俺は〈虚言〉を使うようになってしまったわけですな。むしろちょっと外に出た方がレッガー口調になってたしな。最後までカリスマ口調でいたのって、エキストラ除けばクロノだけなんだよね。
RL:では……クロノもフッと笑って、
アルヴィラを殴り飛ばす(一同笑)。
アル:期待通りでよかった(笑)。
ミリ:拳で語る。
リーベ:リッツガルド的会話術。
ハイン:殴らないと言えないから。
クロノ:「思えば、お前はワシに似たのかもしれないな。……本音で答えてくれて嬉しいぞアルヴィラ。ならば、今お前が考えていることも同じだろう」
RL:虚空に差しだした手。その中には、いつの間にかアウトレイジが握られている。
リーベ:おや……? クロノ王の様子が。
アル:俺も血をぬぐって立ち上がる。「ああ、まったくだ。
『困ったら闘技場』。ウチのいつもの流れだったなあ!」 〈隠し武器〉の判定。一角槍が握られている。
RL:ああ……。やる?(爆笑)
リーベ:いやいや、なんでそんな想定してなかったみたいな言い方(笑)。
RL:アルヴィラに選ばせようかなと思って。
アル:これは面白い! やろうか!
晴海:やばい……ヴィル・ヌーヴ逃げてー!
ハイン:舞台裏では我々が「間に合わなかったか……」とかやってるんですね(一同笑)。
「さあ、来るがいいアルヴィラ。ワシが――王位継承の儀、最後の砦だ」
「ああ。ある意味、最初で最後の親子喧嘩だ。派手にやろうぜ?」
互いのペルソナにカタナが宿る。
歪な親子は、今本音で語り合おうとしていた。
舞台裏
ハイン:グリーンランドに〈売り上げ〉させます(一同笑)。A出して報酬点を2点ゲット。
リーベ:キンダーモルト関連ってまだ本格的に動き出してないですよね?
RL:うん。今んとこ、そういうルートで進めてる。
リーベ:ロランの意図を知っているバルトシュタインが俺に逃げろと言ってきたんですよね……うーん。
晴海:リヒャルトについて調べる。
『リヒャルト・カラヤン』
・ヴィル・ヌーヴ系マフィアのボス。その祖国は第2次ミトラス戦争が勃発した頃、クロノ王が加担した内乱に巻き込まれて滅んでいる。それ以来、歪んだ野望を持ち、キンダーモルトという組織を作り上げ世界征服を企む。
・その戦いでクロノ王は死亡し、“フレイムロード”を取り込むきっかけとなっているが、その際起きた暴走によって祖国は焼き野原となってしまった。リヒャルトはその光景を目に焼き付けており、当時から目付け役として仕えていたバルトシュタインと共に誓いを立てることになる。