――気配で分かった。
戦いが終わった。
クロノが消えていく。あの時と同じように……。
RL:アルヴィラは五感消失してるけど、魂で会話できるとしようか。アストラル界だし。
アル:「はぁ、はぁ……初めて、正面切ってあんたに勝ったな」
クロノ:「見事だ、アルヴィラ」
アル:「つっても、本気じゃなかったんだろ。その体の影響かい?」 一発目で元力されてたら負けてた。
クロノ:「ワシの肉体は、死んでいる。いや、食われていると言った方が正しいか。 聖遺物“フレイムロード”の暴走――その力はワシを飲み込み、今やこの世に百鬼夜行を起こそうと目論んでおる」
アル:フレイムロードが?
RL:まあ、それは今の段階だとなんとも言えない。ただ、この百鬼夜行はそのままの意味。
晴海:魑魅魍魎を跋扈させ大暴れさせるのか。
リーベ:どこぞのアポカリプス・ナウと同じですね。
アル:「まったく、めんどくせーもん残してくれやがったな」
クロノ:「アルヴィラ。最後に聞いておこう。
お前はリッツガルドを守る気はあるか」
アル:静かに笑みを浮かべながら答える。 「これでもさ、あんたがおっ死んでから2年。色々考えてやって来たわけよ。それまではとにかく――自分がまだガキだったし弱かったりで――ただ強くなることにいっぱいいっぱいだったが、あの数か月、俺にも色々あったわけで」
RL:時間だけなら、1話〜5話まで急転直下だったもんな。
アル:「強さってのはなんだろうって、ずっと考えてた。……ただの強さだけなら、あんたに負けねー奴なんてゴロゴロしてたよ」
ハイン:土門とか、うーちゃんとか。
アル:「だけど、一部の奴らはさておき、俺が倒してきた奴らの強さってのは、なんか違うと思ったんだ。
自分の目的のためだけの強さってのは、力であってもただの暴力だ。強さじゃねえ。 やっぱり、力ってのは、何かを成してこその物だ。それこそ、自分のためじゃなく、誰かを守るため……。そして2年。俺はあんたに勝った」
クロノ:「……」
アル:「だから、
俺のこの力は、相手を蹴散らすためでも、我を通すための物でもない。誰かを守るための力だ」
クロノ:「お前なりの王道を見つけたのだな。楽しみにしておるぞ……お前たちの作る未来」
RL:満足そうに頷き、クロノは闇の中に溶け込んでいく。視界が明るくなっていく。
アル:じゃ、そのままパタンと、前のめりに倒れていく。
RL:ドイツ組はトンネルの前にたどり着いた。全員自動登場でいいよ。
ミリ:「イザナギさん。アルヴィラ姫は……?」
RL:なあ、イザにゃんに何させる? オープニングぶりの登場でたぶん喜んでるから(爆笑)。
リーベ:確か送り出した時にはチアリーディングしてたはずですから、
三日三晩「フレー! フレー! ひーめーさまー!」(爆笑)
ハイン:「ミリシア。声を掛けない方がいい。彼女は真剣だ」
イザナギ:「ヨミの民は、このために幼少期を過ごすのです」
ミリ:うそー!?(爆笑)
ハイン:「今言ってたヨミの民とか、聞いてみるといいんじゃないかな」
ミリ:「いやー、
私、知ってるので……」
ハイン:「知ってたのか」
ミリ:「残念ながら……」(爆笑)
アル:話が進まなそうだから出て行こうか(笑)。
RL:じゃあトンネルからふらりと。
アル:壁に手を付いて、一角槍を支えに片足を引きずりながら登場。
ハイン:「!! アルヴィラ!」
イザナギ:「姫様。あのベッドに入るまでが試練です」(爆笑)
アル:「それは……きついのか……わかったもんじゃねえぞ」
イザナギ:「
その様子では、やっぱり負けたんですか!? ……大丈夫です。また来年もチャレンジできますから」
アル:一角槍でゴン、と頭を打つ。「バカ言ってんなよ。勝ったよ」
イザナギ:「ぐへ。し、信じてました!」(爆笑)
ミリ:「ハイン様。
勝ったって、まさか……!」
ハイン:「ああ……間に合わなかったようだな」(爆笑)
イザナギ:「なぜ深刻そうな顔をしてるんですか? 喜ばしいことですよ。今夜はパーティーですよ」
アル:どうでもいいが早く横になりたい。ベッドにたどり着いて寝ころぶ。
ミリ:「ひどい怪我……治療しましょう」
ハイン:「ああ。ミリシア、頼む」
* * *
RL:そこで残りの2人も出てきてくれ。トンネルの中から。
リーベ:ですよねー(笑)。
晴海:「リーベさん。光が見えてきましたよ」
リーベ:「あそこが出口か。走りましょう!」
RL:生暖かいような空気の膜を通り抜ける感覚。モアの部屋を出ると、そこに着いたって感じ。
リーベ:「ここは――地底村!?」
晴海:満身創痍のアルヴィラを見て、ここはやはり言うか。「おや、姫様。
その様子では、やはり負けられたんですか?」(爆笑)
アル:「お前ら、俺をなんだと思ってやがる」
ミリ:「アルヴィラ姫、動かないでください。治療ができません!」
晴海:「こっぴどくやられましたね」
アル:「ああ、こっぴどくやられた。だが、負けたってとこだけは訂正……」
晴海:(遮るように)
アンダーカヴァー!!(爆笑)
ハイン:勝っちゃいけないってのはみんな分かってるんだ(笑)。
晴海:「はぁ……やっちまいやがった……」
リーベ:「そんな……バカな……」(一同笑)
晴海:まさか本当に王位継承の儀を成功させるとは。この人は空気読めてないというか。
アル:しらねーよバカー!?(爆笑)
ミリ:とりあえず治療を。
〈製作:ドラッグ〉〈超テク〉〈医療〉で達成値は25です。
アル:ああ、だいぶ調子よくなってきたー。と思って顔を上げるとさ、
ラウムちゃんはこの場にいるんですかねえ?
RL:スレイプニルの中にいて、
ちょうど顔をひょこんと出したとこ。
一同:……あ。
アル:ラウムについては知らないよね。「……ん? あいつは?」
晴海:「あちらの方が、もしかして?」
RL:イベント発生。目が合った瞬間、ズキン、と激しい頭痛を覚える両者。
晴海:……最悪の事態です。
ハイン:「ミリシア、こっちに戻ってこい!」
ミリ:「はい!」
晴海:3人を後ろに守って、ワイヤーを展開するよ。
リーベ:俺としてはこの状況……少女のことがラウムだと分かりますよね?
RL:まあ、状況からしてね。スレイプニルから顔だけ出してる。
ラウム:「熱いのじゃ……体が……!」
リーベ:「今しかない!」 ラウムに向かって駆け出します。エレキギターを持って。
ハイン:リーベ、足元の石につまずいてこけるぞ!
リーベ:「……うわあ!」(爆笑)
ミリ:リーベの止め方、楽!(笑)
リーベ:なぜこんなところに石が! これが運命だとでもいうのか!
晴海:もう間に合わないのか!
RL:身体が変質していく。うずくまった背中が、ぼこぼこ脈打ってるのがわかる。
アル:え、アルヴィラの?(爆笑)
RL:違う(笑)。ラウム。白いワンピースを突き破り、土で構成された巨大な羽が生えてくる。
ミリ:「ラウムちゃん!」
ラウム:「痛いのじゃ……ミリィ、助けて!」
アル:「なんだ、これは……! 頭が、割れそうだ」
RL:《天変地異》の効果がここで発動する。
* * *
その頃、ヴィル・ヌーヴにあるとある管制室。
「なんだ、あれは。空から何かが落ちてくる?」
「巨大な物体だ! あれは……十字架!?」
「なぜ空から十字架が! 神の裁きだとでも言うのか」
* * *
RL:ケント・ブルースが開けた縦穴って覚えてる? グランドクロスは、その真上まで接近し、ピタッと止まる。
晴海:「止まっ、た……?」
リーベ:「むしろ縦穴がまだふさがっていなかったのか!」(爆笑)
RL:ラウムの背中から生えた羽はどんどん大きくなり、飛ぶではなくその体を持ち上げ、十字架の真ん中に来るように鎮座させる。
ミリ:「仕方がない。この薬は、使いたくなかったけど……」
《タイムリー》を使用します。白衣の中から何種類かの薬を混ぜて、ヴィーデルリボンを活性化させた物をラウムの首筋にかけます。頸動脈の辺りですね。
ハイン:ここでヴィーデルリボンか。かっこいいなあ。
RL:ラウム自身の抵抗力を活性化させたのね。その瞬間、ラウムの意識は眠りに落ちて、目覚めかけてたミーティアの精神も同時に封印状態に戻る。だが、体の暴走は止まらない、どころかさらに変質し続けているようだ。土の羽は無くならない。ひとまず、確定したラウムの死は免れた。もちろんデータ的に殺される可能性はあるけど。
アル:よし、キーハンドアウトを公開しよう。
アルヴィラ用キーハンドアウト
王位継承の儀の内容は、自分の出生を知ることであった。母、ミーティアは、初めからキミを利用するために産み落としたのだ。そしてその思惑通り、キミは“ソラナギ”に認められている。キミの身体はいずれミーティアが復活するための受け皿となるだろう。魂の奥底からキミを呼ぶ声がする。「百鬼夜行を起こせ」と。
・“ラウム”という少女と出会うことで公開可能となる
・公開したら、自分のPSを守るために、《天罰》を1回使用することができる。
アル:すごい斬新だよ。ここに来て知らないの、俺だけなんだ(笑)。
ミリ:わあーい、みんな知ってる(一同笑)。
晴海:「話は後です。まずはグランドクロスからあの少女を引き離さなくては」
アル:「……なるほどね。了解、だ!」
RL:その時、キミたちの周りにポッ、ポッ、ポッと火の玉が浮かぶ。
リーベ:あ、どうも。
RL:辺りは再び、アポカリプス・ナウの時のように腐臭と瘴気が漂い始める。そして、獣のようなグルグルという笑い声。
アル:「この火は……“フレイムロード”!?」
ミリ:「え、クロノ王は死んだはずでは」
リーベ:「やっぱり親父は生きていたのか?」
アル:「いや、親父は死んだよ。あそこにいるのは、親父を食って出てきたバケモンだ」
フレイム:「左様。我が名はフレイムロード。この世に百鬼夜行を起こすべく、顕現させてもらった。今日はめでたい日よ。我らの女王たる、“廃棄王女”が降臨された」
RL:火の玉自体が本体だと思って。
ミリ:聖遺物はみんな、あの人のことを王だと思っているのか。
リーベ:「そうか、ずっと感じていた。クロノ王が生きていると……お前だったのか」
RL:モアも離れたところに霊体として浮かんでいる。「ついに……この日が来てしまったか。アルヴィラへの転生は失敗したようだが……」
ミリ:こいつはどっちの味方なんだろう。
リーベ:中立だと思いますよ。監視者ですから。
アル:ひと段落着いたら敵に回そう(一同笑)。「それにしても……人が苦しい思いして、ようやく出て来たと思ったら、待ってたのは非難の目と災厄ですか」
晴海:「前にも似たような状況があったような気がしますね」
アル:「あんときよりひでーよ」
晴海:「ま、そんな状況でもやることが変わらないのが姫様のいいところですけどね」
アル:「とにかく、まず目の前には敵がいっぱい、と。それを片付けなきゃ話はできねーわな」 胸元のペンダントを、指でピンと弾く。
ペン:「お姉ちゃん! あの時間なの!?」
アル:「ああ、あの時間だよ!」
ペン:「はいそれじゃ――」
アル:「もうそのセリフは言わね―けど、な!!」 槍をペンダントに打ち付ける。
〈親衛隊〉で12人。
ハイン:あ、ラウムが最終的に助かったら、ミリシアの物になるんだよね。身元の情報は隠蔽されてるから。
ミリ:あー、確かに。
ハイン:しかし、ラウムを助ける方法か。
RL:ミーティアの精神はラウムの中に入ったまま。封印解いた後の器がまだないから、放っといても本来のラウムの存在意義と変わらないよ。今は、ラウムが彼女自身であるための戦いだと思って。
ハイン:オーバーキルしてもいいんですか?
RL:戦闘で完全死亡させたら、それはアウトだね。
ミリ:ミーティアの精神体に精神攻撃ってできるんですか?
RL:それは無理。けどラウムはそう簡単に死なないデータにしてあるから大丈夫だとは思うけど。