リサーチ10 ――天上人は抜け殻を見つめ――


ルーラーシーン/タロット:クグツ(正)


 広い室内に、男がいた。
 そこはアーコロジーとしての機能を失った、打ち捨てられたドームの最上階。眼下には、半分以上を氷に包まれたヴィル・ヌーヴの姿が広がっている。
 “災厄”とともに訪れた冬と氷に移住を余儀なくされた欧州の、“抜け殻”と呼ばれる所以がそこにはあった。



RL:プシューと、下からエレベーターが上がってきて、バルトシュタインが現れます。その部屋に最初からいた男は、例のハイランダーね。


アルヴィラ:こいつら、まだ一人しか割れてないんだよな。

リーベ:白衣の男ってのがバルトシュタインですね。


RL:男は言う。「どうなったかね」

バルト:「ええ、すべては計画通り。あなたの大筋からは外れておりませんよ」

RL:バルトが《タイムリー》を宣言。眼下の廃棄ドームの一つから轟音が響き、煙が上がる。キミたちは、ドームに閉じ込められました。

一同:きゃー。

???:「では、計画を本格的に進めよう。“あの男”は、私がやる。残りはお前たちがやれ」

RL:残りの精鋭も現れ、「御意」と答えたところでシーンは終了。



舞台裏



アルヴィラ:あの男……?

リーベ:逃げて―! クロノ王逃げてー!

ハイン:シャルルかもしれないよ(笑)。

ミリシア:ああ、シャルル……。

アルヴィラ:ここで切り札使う。シーンカードをレッガーに変えてキー効果。斬佐の最後の情報が残ってたはずだから、それについて調べるわ。


・砕けたはずの鎧がどこかに存在しているらしい。また斬佐の魂が収められていた鎧は聖遺物(アーティファクト)と呼ばれている。


アルヴィラ:アーティファクト、最初のルーラーシーンで言ってたやつだな。

RL:より詳しくは専門的な知識のある者に鑑定してもらうのがいいでしょう。

アルヴィラ:そんな状態じゃないだろうけどな(笑)。

ミリシア:〈制作:ドラッグ〉〈超テク〉を使って、アベルの体を綺麗にします。演出は表舞台で。

ハイン:私は電脳意識体から戻れなくなったってことですか?

RL:そう。アウトロンできない。

ハイン:ま、本体にはアルバートもついてるし大丈夫でしょう。

リーベ:すいません、孫が……。

ハイン:またかー!(爆笑)








リサーチ11 ――能力と責任と偽善――


シーンプレイヤー:ミリシア/タロット:アヤカシ(正)


 アベル・ブリッツマンは死んでいる。
 それは誰の眼にも明らかだ。

 ウォーカーに掃射されボロボロになった肉体を、ミリシア・リコリスが静かに弔っていた。
 かけがえのない親友を、目の前で2度も失った歯がゆさを感じながら、彼女はその体に薬品を振りかけた。



ミリシア:ヴィーデルリボンの促進剤です。これによって細胞が細胞を食べるようにどんどん死滅していきます。「ごめんなさい……」

RL:アベルの物言わぬ死体は、高速で土に帰っていく、といったところか。しかし、そんな空気もつかの間。突如として爆発音。ピリピリしたような電流の流れを感じる一同。

リーベ:異変を感じ、すぐさまドアに向かう。

RL:しかし開くことはない。物理的にも電脳的にも脱出を封じられたのだと分かる。

アルヴィラ:「どいてろ!」と槍で突進するが。

RL:エネルギーの膜のようなもので弾かれる。

アルヴィラ:「ちっ、閉じ込められたか。しかしどういうことだこれは。ハインさん、そっちはなんとかできないのか」

ハイン:「ダメだ、アウトロンも封じられている。この様子だと、外部との通信もできないな」

アルヴィラ:「さってと、どうしたもんかね」

ミリシア:「……そう。バルト先生、本当に、私はいらないんですね」

アルヴィラ:「……そうだった。こっちの問題もあったか」

ハイン:「まさかミリシアが、ここまで落ち込んでいるとは」

ミリシア:「助けたかった……助けたかったのに……助けられなかった。私は、無力ですか?」


ハイン:「ミリシアにとって、助けるとはなんだ」 ふう、とため息をついて落ち着いた声で話しかけます。

ミリシア:「…………」 黙ってハイン様を見つめます。

ハイン:「命を、ただ永らえさせることか? さきほどのように、ゾンビのような有様で生き返らせることを言うのか?」

ミリシア:「私が、ヴィーデルリボンなんて開発しなければ。彼が心臓病で倒れた時に薬を開発できていれば! 私がやったことだ、私が、彼らを追い詰めたんだ!」

ハイン:「確かに、アベル君が亡くなったとき薬を作れなかったのは、君が未熟だったからだと言えなくはない。だが、それを糧にし、君はそこまで成長できたんだろう? また、ヴィーデルリボンは、使い方さえ誤らなければ多くの命を救える、誇るべきものだ。開発したことが問題なのではない。すべてはその使い手の心次第なんだ」

ミリシア:「ハイン様、私は吟遊詩人なんです。私は、綺麗ごとを並べて、人を傷つけたり、殺したり……。あなたを助けようと思ったのだって、小さいころの自分と重ねて……お父様にも、お母様にも構ってもらえなかった自分に重ねてお姉さんぶろうとしていただけで……アベルまでも、自分のエゴで殺して」

ハイン:「お前が殺した? 違うだろ。アベルは病気で死んだんだ。それに、そんなに辛いと思うのであれば、これからは、そのような人を救う生き方もできるはずだ。お前の技術を悪用する奴らを止めることもできるはずだ」

ミリシア:「ハイン様。私、もう何もしたくありません。私が動けば、誰かが苦しむ」

アルヴィラ:「あー、こんな時にどう言ったらいいかはわかんねーけどさ、偽善だっていいんじゃねえか? それでも、人の魂をもて遊ぶクソヤローよりは数倍マシだ。偽善だろうがなんだろうが、それはあくまで“善”だろ?」

ミリシア:「あなたの言うことは分かる。でも、ごめんなさい。今は心が、理解してくれない……」

アルヴィラ:「……そうか、悪かった。それなら今は休んどけ。こっちの方は、こっちでなんとかしよう」

リーベ:うんうん、とアルヴィラを見ておこう。口を挿む余地はありません。

アルヴィラ:「……で、黒幕はあのタタラってことでいいのか? あいつが俺らを閉じ込めた――ってことは、俺らが出てこれない間に、邪魔が入らないように何かを外でやろうって話なんだろ」 リーベの方を向いて、「お前の摩訶不思議な力でなんとかできねーの?」

リーベ:……むり☆」(爆笑)

ハイン:岩雷について調べますか。


N◎VA軍ミカヅチ部隊に存在したとされる失われた第9部隊。聖遺物収集を専門としており、少数精鋭で世界各地を巡っていた。約15年前、ヴィル・ヌーヴに眠る聖遺物(アーティファクト)を収集しようと侵入したところをリッツガルド国王クロノ、ネオドイツ代表エアハルト・ヴィルヘルムの両名により撃退されている。
かろうじて隊長である巌倉岩鉄(いわくらがんてつ)は逃げ延びたものの、部隊は壊滅。今のところ動きは見えないが、再編成の時は近い。



リーベ:エアハルト? かっけー名前(笑)。

アルヴィラ: 親父さんだろーなあ。巌倉岩鉄って名前も出てきたな。

ハイン:これはどう考えてもクロノ王に仕返しに来たとしか(笑)。

リーベ:アーティファクトって単語を初めて聞いた。

アルヴィラ:そっちもそろそろ調べ時かもな。


ハイン:「ミリシア……君の今後については、こちらで何とかしよう。だがこれだけは、なんとか調べてもらいたい」

ミリシア:「はい……」 力なく答えます。しばらくは他人に言われたことをなんでもする子になろう(笑)。


ハイン:今までと変わらないじゃん(笑)。

リーベ:ミリシアは、ミリシアになった。(爆笑)


ミリシア:では斬佐の鎧から、〈知覚〉〈究極鑑定〉。で21。


・災厄の難を逃れるほどの強度と運命を持つ物品の総称。その多くは科学では解析しきれない何らかの力を有しており、まず一般には出回らない。
・聖遺物を作成する技術も知識も失われてしまったというが、何か強力なエネルギーがあれば未だ練成することは可能だろう。
・現存する聖遺物はアルヴィラのペンダント、斬佐の鎧などわずかしか確認されていない。斬佐が現世に留まるのはこの2つが相互作用したせいもある。また、かつて日本には聖遺物収集を専門とした、岩雷(イワミカズチ)と呼ばれる部隊が存在したという。
・クロノ王の体にも聖遺物は埋め込まれているという。


ミリシア:そんな情報を、棒読みで語ります。

ハイン:「すまない、なんだか大事な情報を棒読みで語らせてしまった……」(一同笑)

アルヴィラ:「なるほど。こいつ(ペンダント)も、聖遺物って呼ばれるやつなのか」

斬佐:「それなら今までの事にも合点がいく。この装飾品が、私を留めているというわけか。斬佐納得ぅ〜」(爆笑)

リーベ:斬佐落ち着いてください(笑)。

アルヴィラ:「けど、鎧が消滅したのに残ってるってのはどういうわけだ? 相互作用じゃなかったのか」

斬佐:「なーんでだろ。斬佐わかんにゃい」(爆笑)

ミリシア:斬佐の人格が安定しないなー(笑)。

RL:いや、RLがシリアス空間に耐えられなくなっただけだ(一同笑)。 そこで、アルヴィラの服の中からペンダントが鈍く光り出して、モゴモゴモゴ……と動き出す。イベント発生だからシーンカードだけ変えさせてもらうわ。






リサーチ12 ――ペンダント、しゃべる――


シーンプレイヤー:アルヴィラ/タロット:カゼ(逆)

リーベ:イベント名が(笑)。

アルヴィラ:あー、なるほどね。しゃべるのね。(一同笑)

RL:「それについては私から説明するよ〜ぅ♪」


リーベ:え、そんなノリじゃないですよね?

RL:うん、そう。こんなノリ。(爆笑)

ミリシア:イザにゃん系の匂いがする(笑)。


アルヴィラ:こいつの声はみんなに聞こえるの?

RL:聞こえるよ。

アルヴィラ:あ、それなら、こいつの光に照らされてる間は、斬佐の姿もみんなに見えるってのはどうだろう。

RL:おー、いいね。面白い。で、声はまだ聞こえてくる。

ペン:「出して出して〜、ここから出して〜」

アルヴィラ:で、服から出すとめっちゃ光ってると。

リーベ:それに照らされる斬佐を見て、「なんじゃ〜!」(一同笑)

ミリシア:茫然と見てます。

ペン: 「やーっと喋れたよお姉ちゃあーん」

ミリシア:「……可愛い妹ですね」

アルヴィラ:まてーーーーい! 俺にこんな妹はいねーー!!」(爆笑)

ペン: 「語りかけても全然見向きもしてくれないんだからさ。ぷんすかしちゃう。空気読めって感じー」

アルヴィラ:「はぁ!?(笑) しょうがねえだろ聞こえもしなかったんだから。むしろお前が空気読め! なんだお前!」

リーベ:アルヴィラの妹だと……? ということはつまり俺の)(一同笑)

RL:斬佐も「分かる分かるぅ〜」ってうなずいてる。(爆笑)

アルヴィラ:「わっかんねーよ! なんだお前ら!」(一同笑)

ペン: 「なーんか、斬佐が一緒にいる影響が強いみたいね。やっぱ話せるっていいわあ。あたしマジかんどーしてるんですけど!」

リーベ:言い方が若い(笑)。このアクト、NPC多いですね。(一同笑)

ペン:「斬佐とも気が合いそーだし! んねっ☆」

アルヴィラ:「ところで……」とリーベたちに、「こいつ(斬佐)、見えてるの?」

リーベ:「新手のスタンドか」(爆笑)

アルヴィラ:スタンドの方が数倍マシだ!(笑)

ハイン:「……んん! しかし姫様、今の情報、そしてこの状況から察するに、ヴィル・ヌーヴ、中でもクロノ王の身が危険なのでは?」

アルヴィラ:今置かれてる状況だけではそこまで頭回らないかなー。親父なら大丈夫だわ、って感じ。「ま、親父なら心配いらねーよ。ところで、どうやらお前らの存在はここにいる全員の共通認識になったみたいだな。斬佐はいいとしてお前はなんなんだ。説明しろ。3文字以内で」

ペン:「聖遺物(アーティファクト)って呼ばれてるみたいだけどぉ?」

リーベ:文字数足りてますね。

ペン:「聖遺物。ペルソナはアヤカシ。キリッ☆」(一同笑)

アルヴィラ:「OK、文字数は無しにしてだな……」

ペン:「まあまあ、かたっ苦しい話はなしにしよ! あたしちょー役に立つからさ! 期待しててよ!」

アルヴィラ:「いやまて、役に立つとかどうでもいいから」

リーベ:すごいなアルヴィラ姫。ペンダントと漫才をしているぞ。

ハイン:「ペンダントちゃんペンダントちゃん。そんなに役に立つのなら、ここから出してくれないか」

ペン:……むり☆」(爆笑)

アルヴィラ:役にたたね―じゃねーかああああああ!!!」(爆笑)

リーベ:「まあまあ姫よ。人には適材適所というものが」

アルヴィラ:きー! 壁に投げつけんぞ!

RL:しびしびしびしび。

アルヴィラ:「で、ペンダントってのも呼びにくい。お前名前でもあんのか?」

ハイン:ペンちゃん?

ペン:「名前はねぇ、――グングニル

ミリシア: …………はぁぁぁ!?

アルヴィラ:何を言ってるんだお前は。

ペン:「グンちゃんって呼んでもらえると嬉しいなっ」

ハイン:「私の認識では、グングニルとは伝説の槍のはずだが」

アルヴィラ:「ああ、俺でも知っているくらいだ。で、ほんとに何なんだ――お前?」

ペン:「あー、まあ、語れば長くなるんだけど…………そろそろ、シーン終了しよ?」(爆笑)

アルヴィラ:「……うん、わかった」(爆笑)






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